2019年09月27日

電車衝突事故の運転士はどの位置でブレーキをかけたのか 3

先日、9月5日に起きた電車衝突事故に衝撃を受けた、と言う
人は多かったのではないでしょうか。事故翌日、翌々日辺り
迄は、新聞やテレビで盛んに取り上げられ、事故原因を知り
たい欲求が膨らんでいったのではないかと思います。

ところが、9月8日に台風15号接近のニュースが取り上げられ
る様になった辺りから、本当はあるはずの事故の全容解明と
責任追及をするテレビ番組や新聞報道が無いと言う異常事態
が続いています。事故から三週間経った現在、ゼロとは言い
ませんがほぼゼロに近い、絶滅寸前です。9月8日からまるで
時間が止まったかの様な状態のまま、いまに至っています。

あれだけ大きな事があったのだから、社会は落とし所を必要
としているはずです。それは時間と共に進んでいく全容解明
の過程を共有しながら形づくられていくものであるはずだし、
責任追及があって納得出来る落とし所となっていくものでは
ないでしょうか。忘れた頃に「報告書が出た」と言われても
心に空いた大きな穴は埋まりません。

先週の新聞を調べた範囲で、他に無い中、見つけた記事です。

京急衝突脱線、トラックを実況見分
(前略)神奈川県警は20日、大破したトラックを実況見分し、車体の損傷状況などを調べた。県警は死亡したトラックの(運転手)の運転ミスが事故につながった可能性があるとみて、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで捜査。神奈川署に捜査本部を設置した。

〈産経新聞 9月21日 朝刊 28面〉

事故に関する報道が他に無い中、この記事だけが出てきたと
言う事は、死亡したトラックの(運転手)の責任だけを追及
して、他の当事者、行政で言えば、国土交通省や神奈川県や
横浜市、警察で言えば、神奈川県警の責任は追及せず、有耶
無耶なまま不問に付す方向性、が確定しつつあるのでしょう。

安全第一の考えを持っていた運転手がただ一人全ての責任を
押しつけられて闇に葬り去られるのです。
哀れですね。

本稿では、運転士が何処でブレーキ操作をしたか、の問いに
対する結論について、9月8日までに報じられていた内容から、
確度の高い客観的な見解をまとめる事が出来たと言いました。

今回の記事では、問いに対する結論を述べる前に、どの様な
結論が出たらどの様な追及の方向性が考えられるかについて
考えてみたいと思います。結論によって、事故の原因として
考えられる事や責任の所在が変わってくるからです。

まず、追及の方向性が変わる境目となる数字についてまとめ
てみましょう。踏切手前何メートルか、についての数字です。

(1) 1000m 踏切動作・踏切通過30秒前
(2) 600m 京急が「信号が見える」と主張する距離
(3) 520m 非常ブレーキで停止できる距離
(4) 480m 前後 信号が鉄塔に遮られなくなる地点
(5) 450m 前後 踏切が視認出来る様になる地点

新聞報道を元にして考えると(1)の時点で信号は点滅を始めた、
と言って良いのではないかと思います。この時点で運転士が
信号を視認して、ブレーキをかけていれば、完全に防ぐ事が
出来た事故でした。しかし残念な事に、電車と信号の間には
カーブがあり、信号は全てカーブの先にありました。

運転士が(2)〜(3)でブレーキ操作をした、と言う結論が出た
としたら、京急が主張する内容、が正しかった事になります。
少なくとも、今回の事故においては、事前に想定した通りに
ブレーキ操作が行われ、踏切の安全対策には問題は無かった、
と言う結論が導かれるでしょう。そうなると、実際には衝突
しているので、他の原因を見出さなければなりません。新聞
報道では、ブレーキには異常は確認されていないと言う事で
本当にそうであるならば、原因究明は迷宮入りするでしょう。

運転士が(3)〜(4)でブレーキ操作をした、と言う結論が出た
としたら、信号の視認可能性、に問題があった事になります。
本来は(3)の距離に至る迄に信号を視認して、ブレーキ操作を
しなければならなかったのに、操作を出来ていないからです。
京急の安全対策に瑕疵があったと言わざるを得ないでしょう。
安全対策は国土交通省の監督の元、立てられているはずです。
国土交通省が認めてお墨付きを与えているのです。お墨付き
を与えた国土交通省も長年見過ごしてきた事になるでしょう。

運転士が(4)〜(5)でブレーキ操作をした、と言う結論が出た
としたら、信号が見えてすぐにはブレーキ操作をしなかった、
可能性が考えられる事になります。現場はカーブで見通しが
悪く、信号機は鉄塔に見え隠れする為、遠くから確認できる
か怪しい場所です。京急が主張する内容、が正しければ(3)の
距離に至る迄に信号が視認出来るはずですが、もし視認出来
なかったとしても、信号が鉄塔に遮られなくなる(4)の距離に
至れば、視認出来ていたはずで、ブレーキ操作をしていない
とするならば、運転士は信号が見えてすぐにはブレーキ操作
をしなかった、と言わざるを得ないでしょう。ただ時速120
キロメートルで走行していた場合、1秒で約30m、2秒で約70m
違うので、運転士の責任をどこまで問う事が出来るかは慎重
な議論が必要だと思います。

運転士が(5)を過ぎてブレーキ操作をした、と言う結論が出た
としたら、踏切を視認する迄ブレーキを操作しなかった、と
言えるでしょう。少なくともカーブの出口を出て踏切を視認
出来る様になる地点よりも、カーブの出口付近で信号が鉄塔
に遮られなくなる地点の方が手前にあるはずです。どんなに
信号機が鉄塔に見え隠れしたとしても、(5)の距離よりも前の
地点で信号は視認出来ていたはずです。京急が主張する内容、
が正しければ、信号が視認出来る(2)の距離から(5)の距離に
至る迄に4.5秒の時間の余裕があるのです。運転士は4.5秒の
間、ブレーキを操作しなかったのでしょうか。

繰り返しになりますが、踏切の近くには、京急の職員がいて、
遮断機が下がり始めてトラックが踏切内に立ち往生した様子
を見た京急の職員が急いで非常ボタンを押した、と言う事は、
踏切が動作したとほぼ同時に信号が点滅を始めた、と言って
良いでしょう。このとき電車は、踏切から千メートル手前を
走行中、そして踏切通過30秒前でした。

複数の新聞社による取材で乗客の証言によると、最高速度で
走行していた状態から乗客が最初に感じた異変は警笛でした。

ところで、踏切で異常が発生していることを知らせる信号の
点滅を見ただけで、踏切で立ち往生していたトラックはまだ
視認できていない状態の運転手が、警笛を鳴らすでしょうか。

本当に停車できる距離からブレーキをかけていたとするなら、
運転手が一番最初にする行動はブレーキをかける事で警笛は
カーブを抜けて踏切で立ち往生していたトラックを視認して
状況を認識した後で出てくる行動のはずではないでしょうか。

もし、停車できる距離からブレーキをかけていたとするなら、
最高速度で走行していた状態から乗客が最初に感じた異変は
急ブレーキであったはずなのです。

ブレーキ操作をする迄の間、一体、何があったのでしょうか。

 
posted by miraclestar at 18:00 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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