先日、日本の言論界に巣食う病魔の根の深さを、まざまざと
見せつけられた出来事がありました。正確ではない歴史認識
をもたらす誤情報が出回っています。情報の発信元は誤情報
であった事を認めて謝罪しましたが、誤情報を元にした言論
が未だに出回っている事が分かりました。
NHKが日曜の夜に放送している「アンという名の少女」(中略)の評判がいい。(中略)放送中のシーズン2は、原作の「赤毛のアン」(モンゴメリ)にはないストーリーや登場人物が目立つ。ジョセフィン大叔母さまやフィリップス先生が同性愛者だったり、船で働いていたギルバートが友人になった黒人バッシュをアンボリーの村へ連れてきたり。きわめて今日的かつ政治的な問題提起の連続なのである。(中略)
しかし――。(中略)このようなドラマ作りは、ある種の歴史修正主義にも通じかねないのではないか?
原作が書かれたのは1908年だ。1世紀以上も前のプリンスエドワード島で、本作のような状況があり得ただろうか。(中略)歴史修正主義においては、南京大虐殺や従軍慰安婦、ホロコーストまでもが“なかったこと”にされている。(中略)どれほどの悲惨も陰惨も、歴史は歴史として正視しなければならない。(後略)(筆者:斎藤貴男)
〈日刊ゲンダイ 11月17日(11月16日 夕刊) 5面〉
「歴史は歴史として正視しなければならない」と言いながら、
筆者の歴史認識が正確ではないと言う、申し訳ないですけど、
間抜けな記事です。
日本の従軍慰安婦問題については、いまから40年と少し前に
日本の国家としての関わりを「主張」した人物がいて、新聞
で取り上げられて問題とされる様になって以降、多くの者が
真実の解明に取り組み、検証を繰り返した結果、虚偽であり、
裏付けの得られない内容であった、との結論が出て、新聞社
の役員が謝罪会見まで行っています。
慰安婦問題における、日本の国家としての関わりについては、
虚偽であり、裏付けの得られない内容であった、との結論は、
歴史の審判を受けた、極めて信頼性の高い、確度の高い結論
なのです。
野党の政治家の中には、過去に誤情報を基にした主張を展開
していた政治家が、いまも現役で残っています。謝罪会見が
あって以降、現職議員で同様の主張を展開した事例は、知る
限りありませんが、過去の主張の誤りを認め謝罪した事例も、
知る限りありません。
この事が、選挙結果に少なからぬ影響を及ぼしているのでは
ないかと思います。歴史認識に注意を払う有権者にとっては
誤情報を基にした主張を展開する政治家は、比較の選択肢に
入らないと言う事です。
もしまだ「納得出来ない」と言う人がいるのであれば、限ら
れた人以外に、「“従軍”慰安婦」の存在を主張する人間が
現れない現実を直視すると良いでしょう。逆に、当時の日本
側だった人間の証言にも耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
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